





「何も言っていない」と同等な情報が世に溢れている。
会話の結論は常に「人それぞれのバランスで、可能な限りの努力を」に帰着する。生活、規則、環境への配慮に加え、専門家が導入する新たな単位や基準値、またプラットフォームと同時に生まれる暗黙のルールの中にいる。ジレンマ以上の膨大な選択肢に包囲されることで自身が満足できることは不可能だと察する。
知識を得るたびに自身の無知に気付き、見えない視点、可能性の分布を想像で補い、より安易に言葉を発することを恐れる。何か一つ断言するには、本文以上の注釈で齟齬を回避し、他者への扇動の可能性も排除しなければならない。
本展では、途方に暮れた結果、様々な痕跡を残した鏡を展示する。
折衷が生んだその鏡は、鏡としての主張もまともにできない静かな鏡である。
主催:カナカワニシアートオフィス合同会社
photo by Jun Orikasa(1.2枚目)
Yuki Kawanishi(3.5.6枚目)、Taira Kintoki(4枚目)
トークイベント「鏡としてのアート」
井村 一登(アーティスト) × 菅 実花(アーティスト)× 岩垂なつき(美術批評)
https://www.kanakawanishi.com/kazuto-imura-talk-archive-1